安いことが大前提、の世の中ですね。
「安かろう、悪かろう」という名言も今は昔、
インターネットを駆使して、一円でも安いものを求めるのが当たり前。
建築も、例外ではありません。

ところで、日本の住宅は世界でも有数の寿命の短さだということが知られています。
建築家の立場からすると、建物の寿命を倍に伸ばすためには、
せいぜい2割り増しの予算があれば十分です。
ところが、「長持ちさせたい」、という要望はなかなか聞かれない。

最初は高くても質の良いものを永く使うことは、
間に合わせのものを次々と買い替えるのを比べて、
長い目で見れば結局は安くつく。
そして、質の良い建築を長く使う方が、生活は豊かに感じられる。

我々の生活が、いくら残業して懸命に働こうが、GNPが世界第三位になろうが、
なかなか豊かになった気がしないのは、勤勉な労働の成果である建築が、
どんどん使い捨てにされて、
ちっとも社会に蓄積されないことも理由の一つだと思います。

安いことや目新しいことを目的にせず、
飽きのこない長持ちする空間をつくっていきたい。
そんなことを考えています。