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ポルトガルを訪れること三回目、ようやくポルトガルの国民的建築家ともいえるアルバロ・シザの最初期の作品であるレサのスイミングプールで泳ぐことができた。今回は家族旅行での訪問、7月7日頃にはオープンしているという情報をもとに、家族で水着を持って駆けつけました。

プールのあるレサ・デ・パルメイラはポルト郊外の街で、シザの生まれたマトジーニョスの街からすぐ近く。しかし地中海と違って大西洋ってのは荒々しいですね。大きな波ががんがん押し寄せて、子供は危なくて泳げないだろうし、何より水が冷たい!プールが必要になるのもよくわかる。

そして何より驚いたのは海辺の風の強いこと。海辺で日光浴している人の様子を見ると分かりますが、みんな布と棒が一体化したような風よけを持ってきていて、それを砂浜に立てて居場所をつくっているんですね。それがないと風が強くておちおち日光浴を楽しんでいられない、というわけです。

そこで膝を打ったのが、過去にも見に来たことのあるシザのプールのV字型に折れ曲がった壁のこと。これはプールにアプローチする際に人をわざわざ迂回させて景色を展開させる、安藤忠雄ばりのシークエンシャルな壁だと思っていたのですが、最大の目的は強い北風から人々を守るための防風壁でもあったのですね。やっぱり建築は、実際に訪れて、できれば使ってみて、その本来の意図が分かるという良い例。(単に気づくのが遅いという説もあり)

アプローチのスロープから屋根の下のスペースに潜って行きます。

突き当たりが受付カウンターになっています。受付横にはこのプールがシザの作品であることを誇らしげに伝える展示が。 コンクリートの肌も粗くて、一見ぼろっちいプールに見えますが、世界の建築界で重要な作品というだけでなく、現地の人にとって大切な作品なんですね。ポルトガルに比べて日本の建築家の仕事も素晴らしいと思いますが、日本の建築は、古くなるとすぐ壊される。このプールも日本ならとっくに建て替えでしょう。悔しいけど、文化意識のレベルの差が歴然としています。。。。

エントランスの受付から右に行くとさっきの壁に向かうのですが、普通はカウンター脇にある扉を通って、男女別になった更衣室に入ります。

更衣室のなか。真っ黒にコールタールを塗ってありますが、扉や屋根はすべて木造。

特に照明はなくて、太陽光を垂木の間から導いている。

更衣室をでたところ。待ち合わせスペース?すぐには海を見せない。

壁の向こうに出ると、テラスがあって、その先はごつごつした岩と砂浜、プール、そして波が砕け散る大西洋。

子供用プールと大人用プールがある。大人用プールは深いところで水深4メートル!そして水は海水!プールのすぐ近くにある岩場に大西洋からの波がぶちあたって、水飛沫が舞っている。大自然と隣り合わせのプール、迫力満点。

まわりに簡単なネットを張ってありますが、そのまま周囲の海岸とつながっている。

敷地内には岩場と砂場も沢山あって、タオルを敷いて日光浴する人がゴロゴロと。

エントランスから右の方に行くと、道が壁で二手に分かれる。右のほうはトイレ、左のほうはカフェに。

V字壁に従って左を向くと、海に開かれたカフェスペース。

エントランスを振り返ったところ。

壁に風が当たって、ビュウビュウ音を立てています。

プール好きの次郎がはしゃぎすぎて、滑って転んで擦り傷だらけに。こうして見るといろんなプールがあるなあ、と思わされますが「プールサイドは走らない」、このルールは世界共通。良い子の皆さん、気をつけましょう。