解体工事@御所西の町家

昨年から計画を進めてきた御所西の町家改修の現場がようやく始動。   不要な部分をまずは解体していく。セメントが塗ってあったり色々と手が加えられていても、一皮むくと、もともとの土壁とか、竹小舞とか、町家本来の構造はそのまま残っている。   家のなかに、もうもうと土煙が立ちこめる。すると、天窓から室内に差し込む光が、くっきりと空中に浮かび上がった。 三次元の立体となった光。 昔のお寺や町家の竹小舞の竹は、たいていの場合、写真のように割り箸のように細い。現代の文化財の修復現場では、だいたいこの三倍くらいの太さの竹を使う。こんな華奢な下地で、よくも100年近くも保たれてきたものだなあと、いつも感心する。そして竹を編んでいる藁縄も、つい最近編まれたように新しく、しっかりしている。雨が漏ったりして水に濡れない限り、土壁の寿命は半永久と言っていいくらい長い、ということの証拠。    

土の土間@町家

計画中の町家の改修現場の土間を土だけでつくる提案がお施主さんから出たので、早速サンプルをつくりにいつもの場所へ。 。 いつもお世話になってる久住氏の大原の倉庫には事務所から車で五分。 世間話もそこそこに、さっと材料を揃えて、土と砂利を手早く混ぜ、適度な水分状態に配合する。 混ぜた状態はこんな感じ。ぎゅっと握って固まる程度。オーストリアの版築専門家マルティン・ラオホさんのアトリエでみた土の配合もちょうどこんな感じ。土間のタタキを立体的に積み上げると版築になるわけだから、原理は同じ。この加減を間違えると、土間は乾いた田んぼみたいにバリバリに割れる、と久住氏の言。 古畳を解体したゴザの上から土を叩き締める。畳の目が表面に残って、意匠的にもおもしろい。 町家の土間は下も土なのでその湿度が上まで伝わって完全に乾燥しないので、気になるホコリも案外たたないらしい。 事務所から大原に至る周囲の山々には、野生の藤の花が咲き誇っている。 静原川べりの木もこんな感じ。新緑が美しく、車の運転も楽しい季節です。

続春ですなあ@静原

前回の更新から三週間、日々刻々と移り変わって咲く事務所のまわりの花々に、春を迎えた喜びを噛みしめております。京都市内と比べても格別に冬が厳しい静原では、この季節が本当に待ち遠しいのです。 事務所のすぐ脇にある愛宕灯籠のまわりには樒(シキミ)が生い茂っているのですが、それに黄色い可愛い花が咲いてます。 今まで「榊(サカキ)」だと思ってたのですが、花を良く見て調べてみたら、「樒(シキミ)」と判明した次第。この樹はけっこう強い毒があるそうです。まあ、何かの間違いが無い限り、口に入れることは無いと思いますが。。 あと、この季節の静原の山々には白い花を付けた「辛夷(コブシ)」が目につきます。コブシって、日当りの悪い北側の斜面に自生する樹木なんですね。どうりで京都市内から見る山々には見当たらないわけですね。だから、「北国の春」の歌詞に出てくるのにも納得がいきます。 今年のコブシは例年に比べても特に花付きが良くて目立っていました。手前にある黄色い花は「連翹(レンギョウ)」。どちらの漢字も、難しい。。 静原の集会所前では、桜が満開。来週はここで静原の地域のお花見会「しずはなみ」が開催される予定。 進行中のいくつかのプロジェクトは、現在見積もりの最終段階。来月くらいから現場が本格稼働しそうです。  

春ですなあ@静原

事務所の窓の外に散らつく雪と、来る日も来る日もご対面していた二月から一転、三月の静原は暖かい日が続いています。 先週はようやく、梅の花が咲きました。トンビがピーヒャララといいながら、毎日午後になると追いかけっこをしてるのも見えます。   そして事務所前の土手には、ふきのとうが芽を出し始めました。こちらは夕食の天ぷらに。 現在、改修の現場がひとつ動いているほかは、基本設計や見積もり調整中など、事務所内は比較的落ち着いた雰囲気です。やっぱり現場が面白いので、早く現場が始まって欲しい。 最後に、今月発売の「JA89 」(新建築社)の「木の建築」特集にて、当事務所の設計したShelf-Podが掲載されていますのでご覧になって下さい。

巡回展@ウェールズ

昨年参加したウェールズのルーシン・クラフトセンターで行われた展覧会「Japanese Style / Sustaining Design」が、同じウェールズの都市スウォンジーSwanseaのMission Gallery に巡回しています。会場のギャラリーは、海沿いの古い教会を転用した建物のようで、展示の様子は見えませんが、なかなか良さそうな雰囲気。会期は以下の通り。 “Japanese Style : Sustaining Design” -A Japanese Season… More ]

ひさびさの町家の改修@京都

新年が明けて、ぼんやりとしているうちにもう二月になってしまった。一月の初めに少し雪が積もっただけで、今年の静原は雪が少ない。まだ二月だから全然安心はできないけど。写真は、静原名物?「晴れてるのに雪が降っている」様子。 1/26のアーキフォーラムでは、「建築の知性」と題して建築家の金野千恵さんとディスカッションをさせて頂きました。金野さんが振ってくださった質問にはあまりうまく答えられず、来て頂いた方にはチグハグな感じを与えてしまったような気もするのですが、2人のレクチャーはうまく内容がシンクロして、楽しんで頂けたようで少し安心。   僕のレクチャーのパートでは、生物学の世界で知られた「ヘッケルの系統樹」と建築の「フレッチャーの建築の樹」(上図)を比較しつつ、前の世代の遺伝子を受け継ぎながら環境に適応していく生物と同じように建築をとらえていく面白さを、スペインを中心とするレンガ建築の歴史を例に挙げて紹介させてもらいました。ジャガイモが南米アンデスから世界中に広がっていく様子は、レンガ建築がスペインから南北アメリカ大陸に伝わっていく様子と、そっくりなんですよね。またどこかで機会があれば、お話ししたいと思っています。 昨年から、京都市内で町家の改修を手がけています。実はここ数年は町家を手がける機会がなくて、実に6年ぶりの町家の仕事でうれしい。ろくに図面も描かず、現場で毎日泥まみれになっていた、独立当初の初心に帰った気分。 近くに来たついでに、「河井寛次郎記念館」に10年ぶりくらいに立ち寄ってみた。 高山の民家を参考にしたという室内は、京都の町家とはまた異質な、骨太なスケールでできている。土壁の仕上も、農家の納屋のような粗野な表情。床板は朝鮮張り。河井寛次郎さんの彫刻や陶芸作品も、すごく力強くて、いい。素材の力を感じる空間。 あからさまな素材の質感を消すように洗練を重ねて来た京都の町家の空間に、高山の民家が失わずにいた重厚な北国の民家の遺伝子が注入されている。 庭に面した二畳の部屋から見る景色がとても気持がよい。 敷地の一番奥には、八連の登り窯。日本の古い建築にはレンガ造ってあまりないけど、陶芸の窯は昔から基本的にレンガ造なんですよね。そして天井は、ヨーロッパや中東のレンガ建築と同じようなボールト天井。 文化庁の面接で「スペインのレンガボールト工法を研究しにいく」と研修目的を説明したら、陶芸の専門家らしき方が「焼き物の竃みたいなものね」と言ってくれたことを思い出す。レンガボールト建築の系譜は日本では窯に受け継がれていたということか。 そして我々の町家の改修。今回は可能であれば唐紙の襖を使いたいなあと思って、一年ぶりに「かみ添」さんを訪ねてみた。 「かみ添」さんのお店も古い町家にあるのですが、日本の伝統建築に特有の、直射日光でなく床を反射した光が横から届くような空間では、唐紙の質感や表面の光沢がとても映える。アーキフォーラムでご一緒した金野さん設計の「向陽ロッジアハウス」の和室に、かみ添さんの唐紙が使われていたと聞いてびっくり。一年ぶりにお会いする嘉戸さんと、スペインや韓国の話などさせてもらってきました。

レクチャーします@アーキフォーラム

関西の歴史ある定期レクチャーシリーズ、アーキフォーラムで今週末の26日、レクチャーをさせて頂きます。2007年にもスペインから帰国して間もなく、レクチャーさせていただきましたが、二回目の今回もスペインから帰国して初めて頂いたレクチャーの機会ということで、気合いを入れて参ります。関西の皆さん、ぜひお越し下さい。 今年度のアーキフォーラムの年間テーマは「新しい建築のことば」となっていますが、今回は「建築の知性」というテーマを掲げた上で、コーディネーターの1人である建築家の金野千恵さんから招かれたゲストという形で参加します。当日は2人でショートレクチャーをした上でディスカッション、という流れになる予定です。 金野さんは東工大で塚本由晴さんの研究室に在籍され、イタリアの住宅に見られるロッジア空間について博士論文を書いて独立され、デビュー作の「向陽ロッジアハウス」で若手建築家の登竜門といわれる東京建築士会の「住宅建築賞」でいきなり金賞を受賞されています。過去の建築から学び、実作に生かしていく態度はお互いに共通しているのかなと思いますが、どんなお話ができるか、楽しみです。 ……………………………………………………………………………………………………………………………………….. 作品名:Concrete-pod 竣工年:2005年 撮影:杉岡一郎 作品名:向陽ロッジアハウス   所在地:神奈川県相模原市 竣工年:2011年 撮影:KONNO ………………………………………………………………………………………………………………………………………..  ゲスト:森田一弥(建築家) コーディネーター:金野千恵(建築家)… More ]

Brick-podの動画@Youtube

昌原彫刻ビエンナーレ(韓国)に出展したレンガのドームの動画をYoutubeのウェブサイトで閲覧できます。基本的には写真を使った動画ですが、それでも内部空間の様子など、なかなかリアルに体験できますのでぜひ。

ハイキング@カトマンズ

あまり観光も出来なかった今回のカトマンズ滞在ですが、唯一、ヒマラヤが見えるというナガルコットという町への小旅行に、週末の休日を使って出かけてきました。ここの町の目玉は町並みでも何でもなく、ヒマラヤの山々の眺望。 泊まった宿からの眺めは最高、翌朝は薄明かりとともに目覚め、太陽の光で刻々と様子を変えるエベレストやチョーオユー、などヒマラヤの山々に、寒さに震えながらも見入ってしまった。 その後朝食を済ませて、ナガルコットからカトマンズ方面へ、ハイキングルートがあるというので歩いてみた。 遠くにヒマラヤの山々をのぞむ高台の尾根道に沿って、民家が並んでいる。道沿いにはヤギや牛や鶏が放し飼いにされている。ネパールの田舎の人々の生活の様子が見えて退屈しない。 民家はたいてい、石か日干しレンガを積んだ壁に、土壁を塗って仕上げてある。土と漆喰を混ぜた日本の大津壁みたいな表情の壁は、ネパールの人に聞くと牛の糞と土を混ぜて塗ったものらしい。牛の糞ということは植物繊維の固まりみたいなものだからか分からないけど、けっこう耐水性がありそうに見える。 家で留守番をしていた男の子兄弟。 竹でつくった大きな櫓みたいな工作物は、新年のお祭り用のブランコ。ヒンドウー文化圏では、ブランコは宗教的な場で使われることが多いと聞いたことがあったけど、カトマンズの郊外の村々ではこれにブランコをつり下げて、子供たちが大騒ぎしていた。 村の近くに合った大木。そして大木の下にはたいてい、人々が寛げるような段状のスペースがつくられている。お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開いたように、大樹の下の空間もおそらくネパールでは宗教的に重要な場所なのだと思われる。 畑の近くにつながれていたヤギが、物珍しそうにこちらを見ていた。 尾根に沿って、ずっと続く道。 ほとんどの民家の前にはカトマンズ市内で見たパティみたいな、縁側のような日向ぼっこスペースがあった。収穫の時期なので、ここでお米や麦などの穀物を乾燥させていたり、昼寝していたり。 結局5時間くらいかけてチャング・ナラヤンというお寺のある町まで歩いて、ホテルのあるバクタプルまでバスで戻った。 最後に、ホテルの近くのお気に入りのフレッシュジュース屋さんでジュースを一杯。 ザクロとパイナップル、二種類のミカンを絞って飲ませてくれた。そんなネパールでの休日。  

縁側空間@カトマンズ

カトマンズを歩いていると、日本の建物の縁側のような、人々が座って寛いでいる場所を良く見かける。ネパールで「パティ」と呼ばれるこの場所は、ネパールの街中でとても重要な社交場となっているようで、その様子を色々と写真に撮ってきました。   これが典型的なパティの様子。道路に面して独立して建っていて、人々が腰掛けて寛いでいる。名付けて「独立型パティ」。   寛ぐついでに、こうして商売をしている人も居る。まあ、商売というよりは寛ぐついでに野菜を目の前に置いている、という感じではありますが。   季節も冬なので、みんな日当りのいい場所に居て、日光浴をしています。   そのかわり、日陰にあるパティには誰もいない。たぶん、夏にはこの反対の現象が起きているのでしょう。   このパティには、ミシンを持ち込んで仕事している人もいた。   まあ、パティにたむろする暇人の相手であまり仕事に集中できなさそうだったけど。   独立して建っているものだけじゃなくて、こうやって建物に付属しているものもけっこうある。名付けて「寄生型パティ」。… More ]