最初の一週間@京都

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スペインから帰国して一週間。1日目と2日目は1年ぶりの日本の風景の全てが新鮮で奇異に感じられて面白かった。これはなかなか経験できる感覚ではない。たけど、長年生活した日本の環境に馴染むのは早い。一週間経った今では、海外で1年も生活していたことが、はるか昔の出来事のようだ。

4/1 朝7時に関空着。てんこ盛りの荷物を空港の宅配サービスで自宅に送る。空港から京都までの車窓の風景を見ると、日本の現代都市の風景は、とにかく安けりゃ良い、やりたい放題にやるぜ,という建物の群れで成立しているように見える。誰も公共空間への配慮なんか考えていないし、そもそも「公共空間」という意識自体が人々の間に存在するかどうかも怪しい。個々の建築は建築基準法でがんがんに縛られているのに、実際に出来上がった風景は個人の事情や欲望が赤裸裸に現れている、この落差は何なんだろう。昼頃に京都静原着。荷物の受け取りと、電話の開通と、とにかく生活を再開するための荷物の整理。日本での初料理はうどん。うまい。日本の食べ物は本当においしい。

4/2 朝食は念願の納豆ごはん。うまい。引き続き、荷物の整理。昨年の引っ越しの荷物がそのまま段ボール箱に入っているので、それらをひも解いて足りないものを買い出しにいく。ホームセンターの中にいると絶え間ない放送と有線の歌謡曲とで頭がおかしくなりそうだ。日本の歌手の歌い方は、久しぶりに聞くと相当ファニーで、何度も吹き出しそうになった。そして壁面を埋め尽くす張り紙。どこを見ても情報の押し売り状態で空白が無く、目眩がする。生活必需品であるケータイを夫婦で契約。夜、左官の久住氏がひょっこり現れ、しばらく近況を話す。

4/3 朝食はトーストとスクランブルエッグ。日本の卵はスペインのに比べて味が薄いような気がする(肉も)。日本の区役所で住民登録と健康保険の申し込み。区役所の窓口は始業時間が30分早くなり、昼休みも交替で応対をしていて、さらなるサービスアップに驚く。ホンマに日本人はよく働くし、際限なくサービスを向上させる。あまり良いことだとは思わないが。その後,長男の入学式のための服などを購入。

4/4 ケーブルテレビとインターネット用のケーブルの工事。ようやくネットが繋がる。わずか4日だがネットが無いとずいぶんと不自由する。夜、神楽岡の職人仲間、柳沢氏と龍門で中華を食べ、そのまま3時頃まで飲みながら話す。

4/5 子供の靴が皆ぼろぼろの状態で無惨なことになっているので、寺町通へ買い物に出る。みやげ物屋と、若者向けの衣料品店と、ゲーセンと、お寺と神社が一緒くたに街を形成していて、日本人の自分がいうのも変だが、ものすごくエキゾチック。たこ焼きを買って、路上に置かれた長椅子に座って食べる。うまい。その後,家の前の畑に植えるハーブや野菜の苗を買う。京都市内は桜が満開。

4/6 山崎井口夫妻、岡田夫妻、満田夫妻、久住夫妻と京都御所にて花見をかねたピクニック。天気もよく、持ち寄った食べ物とお酒もおいしく、子供たちも機嫌良く遊び、楽しいイベント。夜は静原に古くから伝わる元服式の行事「烏帽子儀」を家の近所の集会所で見る。

4/7 静原小学校にて長男の入学式に出席。今年の新入生は7名。全校生徒が30数名の静原小学校としては今年の新入生は多い方らしい。うち3名はわざわざ隣の市原小学校区からバス通学で通う子供たちだ。なんでもこの生徒数に担当教員が2人つくので、家庭教師並みの手厚い教育が受けられる、と考えてのことらしい。なるほど。今日は終日雨降り。午後は市内へ出て、銀行の各種手続き。

4/8 雨上がり。静原の景色は山に霧がかかって、湿り気を帯びた景色が美しい。午後に1年ぶりにShelf-pod 君府亭を訪問。書棚に本が並び、家具も増えて、とても楽しい空間になっていた。お風呂のタデラクトもいい色に仕上がっているし、焼きムラのあるトルコ製のタイルも味がある。昨年は家具や本の無い状態で竣工写真を撮影したので、今度は家具のある状態での撮影をお願いしようと思っている。

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4 Comments

  1. お帰りなさい。
    充実した一年だったことが
    Blogからもひしひしと感じられました。
    帰国する前にバルセロナ訪問したかったけど
    この一年、予想以上に忙しく願いかなわず残念。
    で、あまりの忙しさと不完全燃焼具合にお別れして
    僕も4月からフリーになって新生活はじめました。
    次回京都訪問の折には静原まで足を伸ばしたいな。

  2. おかえりなさーーーーい☆
    1年も日本を離れるって考えられないですけど、
    すごい新鮮なんでしょうね(^^)
    お子さんの入学もおめでとうございます!
    私は6月に男の子が生まれます♪

  3. yoshimura

    こんにちは。
    「納豆ごはん」、うらやましいですー。あー、食べたい。
    僕がバルセロナに暮らしていて驚いたのは市民の街への帰属意識の高さです。明らかにココには「自分の街だ」という強い意識がある。そしてそれが公共空間の質を保っているような気がします。
    逆に言うと、そのような意識を育てない事には日本において質の高い公共空間は出てこないんでしょうね。何故なら公共空間は創るものではなくて育てるものだと思うからです。
    日本が50年かけて壊してきたものを、これから50年かけて再構築していく僕達の役目は重大です。

  4. morikazu

    niwatetuさん
    帰って来ましたぜー!
    フリーになりました。って、なんだか最近そうした同年代の人が多いんですけど、ちょっと皆さんクレイジーですねえ。
    僕は同類が増えて嬉しいですけど!
    naomiさん
    お子さん誕生ですか!
    我が家も末っ子が大きくなってきたので、また小さい子が欲しいです。
    yoshimuraさん
    納豆いいですよー。2日に一回は朝ご飯で食べてます。
    今日は僕の住む静原の集落の、一斉大掃除に行って来ました。一家からひとりは出て、集落の道や側溝を掃除するのです。こうやって自分達の住む環境の定期的に手入れをすることで、公共という意識や郷土愛が育まれてきたのだということがよく分かりました。

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