竣工前の現場の追い込みなどで忙しく、なかなかトルコのことが書けないのですが、とりあえず始めてみます。
今回のトルコ訪問は、仕事の打ち合わせがきっかけではあるのだけど、オスマントルコ時代の建築家ミマール・シナンの作品を見て回ることがもう一つの目的。16世紀に活躍したミマール・シナンは、97年といわれる生涯で造った建築作品は477に及ぶという。彼の設計した大小のモスク、廟、ハマム(公衆浴場)、橋を見て回り、彼の墓を参り、そして彼が最期を迎えたというハマムの小部屋で祈りを捧げてきた。
彼の活躍した時代は、ヨーロッパにおけるルネサンス、日本における安土桃山時代とほぼ同じ頃。その同時代性と違いについてもゆっくり考えてみたいと思っている。

これは、トルコと西端部の都市エディルネのセリミエ・ジャーミーというモスク。シナンが87歳の時の作品であり、彼が自ら最高傑作と呼んだ作品だという。

ドーム近景。イスタンブールのモスクに比べて使われている石材が黄色味を帯びていて、とても軽やかな印象。

内部に射し込む光。祈る老人。

おそらく彼にとって1000年以上前(AD537年)にイスタンブールに完成した「アヤ・ソフィア寺院」は、あらゆる意味で手本であり乗り越えるべき対象だったと思わざるをえないのだけど、彼はこのモスクのドームで初めて「アヤ・ソフィア」をしのぐ大ドームを架けることに成功する。ただ、それまでの彼の作品の遍歴にみられる試行錯誤を見てみると、単により大きなドームを架けたというだけでない、もっと別のテーマの追求があったのだろうということを感じました。