現代建築めぐり@ポルト

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夜遅い格安航空便でリスボンに到着し、志岐さんの家にお邪魔する。

同じカヒーリョ事務所で研修中の大野くんも一緒に、近所の店でたっぷり腹ごしらえをして、さっそくバイロ・アルト地区に繰り出す。そのままリスボン名物?路上立ち飲みを敢行。深夜にもかかわらず相変わらずの熱気だ。

同じリスボンのアイレス・マテウス事務所の研修生堀江くん、美術家の松本くん、コンテンポラリー・ダンサーの前沢さん、とリスボン住人が続々と集結、楽しい夜が更けていく。

そして翌日、夕方の列車でポルトへ向かった。ポルトのホテルでEMBT事務所の同僚だったMattと合流。

ポルトと言えば、やはりアルヴァロ・シザの建築は外せない。

写真はポルトの街の郊外、シザが生まれ育った隣町にあるレサ・デ・パルメイラのスイミングプール(1966)。冬であいにくプールの水は無かったけれど、これが水で満たされた時の自然との一体感はすばらしいだろう。大西洋の波が、プールサイドの岩に激突していた。

プールには、更衣室やシャワー室が付属していて、その建物の屋根は海岸沿いの道から海への眺望が遮られない高さに抑えられている。

黒く塗られた木造の建物は、45年前の建物とは思えないくらい、しっかりしていた。

プールから10分ほど北へ歩いたところにある、ボア・ノヴァ・レストラン(1963)。

レストラン内観。こちらもシザの最初期の作品だけれど、今の作品にもみられる要素があちこちに散見されるのがとても興味深い。

カフェの内観。カフェに入った瞬間、軒先のラインと水平線が重なって海面だけが見えるのだけれど、椅子に座るとどこまでも続く水平線が一気に視界に現れる。

ポルト大学建築学部棟(1987-93)。

南面の窓と北面のハイサイドライトのある教室は、ボア・ノヴァ・レストランを思い出させる。

図書室の内観。天井から大きく垂れ下がる、逆V字型のトップライトがいい。

セラルヴェス現代美術館(1997)。とても印象的なエントランスの屋根。

白いボリュームがランダムに並ぶ外観。あいにく美術館は休館日でエントランスとレストランしか入れなかったけれど、ここのビュッフェはかなりおいしい。ケーキを山のように食べてしまった。

その後、ポルト市郊外のシザ事務所を訪問。アポなしの突然の訪問だったのだけど、この事務所で勤務する伊藤廉さんに親切に案内して頂き、進行中のプロジェクトの模型を見せて頂いた。さらに同じ建物に事務所をかまえるソウト・デ・モウラの事務所も拝見。エレベーターでシザ本人にもお会いしたので、自己紹介して彼の大きな手と握手。足の調子が悪いのか松葉杖をついておられたが、気持ちはまだばりばり現役で、エネルギーがみなぎっていた。

その後、シザ事務所の伊藤さん、瀬下さんと夕食をご一緒して、おいしい魚料理を食べながら伺ったなかで興味深かったのは、シザは8月のバカンスの時期も殆ど仕事を休まず、土日も事務所に顔をだし、所員の誰よりも仕事をしている、という話。ラテンの建築家にも、そうした人がいるんだ,と驚いてしまった。そして暇を見ては進行中のプロジェクトのスケッチを描きまくっているという。事務所でお会いしたシザは歩くのも大儀そうなおじいさん建築家だったけど、いまだにそんなバイタリティがある、というのは心底建築が好きな証なのだと思う。

ポルト周辺にはシザの作品がたくさんあるが、今回はその他にはヴィラ・ド・コンデのボルジェス・イルマン銀行へ行ったのみで、アヴェイロ大学やマルコ・デ・カナヴェーゼスの教会に行けなかったのが残念。また機会があれば。

ポルトの建築家というと、シザに続くのがシザ事務所出身のエドアルド・ソウト・デ・モウラだ。最近完成したこのポルトの地下鉄駅も彼の設計で,プラットホームの上の丸いトップライトから外の光が降ってくるとても明るい駅。他の地下鉄駅も彼がデザインコードを決めて、統一されたイメージを保っている。

これらの地下鉄駅の壁には、薄青色のアズレージョ(タイル)が使われている。このタイルは通常の大量生産向け乾式タイル製法(乾燥した土を圧縮してタイルの形をつくって焼成する)と違って、あえて水で練った土を整形して焼成する旧式の湿式製法でつくられているため、形に微妙な歪みがあって釉薬の発色にもムラがあるのがいい。

ポルトから列車で1時間ほどの街ブラガにある、ソウト・デ・モウラ設計のサッカースタジアム。岩山の岩盤を一部掘削してつくったスタジアムで、岩山の斜面がスタジアムの横に迫っている、というダイナミックな空間。

エントランス外観。

スタジアムの屋根は、両側の観客席の頂部から引っ張ったケーブルに吊られている。リスボンのシザ設計の万博パビリオンの屋根とおなじアイデア。巨大な雨樋が面白い。

あとはシザが審査員のコンペで選ばれた,レム・コールハースのカーサ・デ・ムジカもポルトの現代建築の見どころのひとつ。外観のホワイトコンクリートは、経年変化でだんだん黄色みを帯びて周囲に馴染むように、配合に工夫が凝らされているという。いったいどんな技術なんだろう?

複雑に歪んだ内観。

壁などのマテリアルにもいろいろ面白い素材が使われているし,ディテールも変幻自在でOMAの底力を感じる作品だった。

ポルトガル各地のアズレージョの名作をコラージュした、VIPルーム。アズレージョはポルトガル建築のアイデンティティの一つとして知られているが、先ほどのソウト・デ・モウラと比較しても、現代建築家のアズレージョへのアプローチは様々だ。

最後に,ヴィラ・ド・コンデの街で見かけた、崖の斜面に点々と置かれた植木鉢。

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3 コメント

  1. kobayashi

    ポルトガルの建築も魅力的なんですね~。
    ぜひ!訪れたいものです。
    Shelf-pod "KUM-PU-TEI"
    本が好きな人には、あこがれの家です。

  2. お久しぶりです。京都で御世話になった伊藤です。
    こないだちらっとコメントさせて頂いてからしばらく時間が経ちますが、毎日楽しく息抜きに見させてもらってます。
    僕も去年の初めスペイン・ポルトガルに行っていて、シザのプールやレストラン、カーサ・ダ・ムジカを見たのが懐かしいです。
    カーサ・ダ・ムジカを見て、今までキライだったレムが、一気に好きになったのを覚えてます。
    また行きたいな~

  3. morikazu

    kobayashi さん
    ポルトガルは素朴で気取らない国で、のんびり旅行を楽しめる国でしたよ。ブログも拝見しましたが、視点の違いが写真に現れて、とても面白かったです。また覗きに行かせてもらいますね。
    go くん
    おひさしぶりです。社会人になってからも旅行してるんですね。
    僕も4月には京都に戻って事務所を再開するので、それまでに見れるだけ見ようと思ってあちこち駆け回ってます。
    また日本でお会いしましょう!

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