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正月休みを利用して初の台湾へ。

台湾北東部の地方都市、宜蘭(イーラン)を拠点に活動する建築家、黃聲遠(ホァン・シェンユェン)さんのフィールドオフィス・アーキテクツ事務所を訪問し、彼の作品を片っ端から見てきました。

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こちらは事務所の様子。事務所名を漢字で「田中央工作群」と書くとおり、本当に田んぼの中にある3階建の住宅を改修した事務所。3階のテラスからは田園風景が、内部は模型が溢れている。

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彼らの代表作の一つ、羅東文化工場。10年以上かけて徐々に完成させたという巨大な屋根とそれに付随する文化施設です。

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ダイナミックな造形とスケール感。雨の多い宜蘭地域で、天候に左右されずに自由に集える広場を作り出している。

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屋根の下に吊り下げられた細長い部屋はギャラリーで、そこへのアプローチ。屋根の周囲には、そのまま公園が広がっている。

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こちらは羅東文化工場から緑の小道を歩いてたどり着く、樟仔園歴史物語公園。古い工場の木造トラスを再利用して、それが鉄骨の柱の上にぎこちなく取り付けられ、公園の一部に大きな軒下空間を作り出している。

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員山神風特攻機掩体壕ランドスケープ博物館。第二次世界大戦時に作られた戦闘機を格納する掩体壕をそのまま建築の一部に取り込んだ、地域の歴史を学ぶための博物館。

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川沿いの遊歩道に付随する冬山河水門横公共トイレ。川船に使われているパイプを手摺の素材として使い、遊歩道の土留めにそのまま屋根をつけたような、土木構築物がそのまま建築化されたような、大地と一体化したデザイン。エンリック・ミラージェスの処女作であるバルセロナのアーチェリー・パビリオンを連想させる。

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彼の設計した墓地へのアプローチとなっている櫻花陵園入口橋。土木と建築の一体化。「自然の造形は、冗長性が高い(つまり、より安定している)」というこの作品についてのホァンさんの言葉が印象的だった。

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宜蘭美術館。旧台湾銀行の建物を改修・増築した美術館。既存の銀行の建物とアメリカ軍が残したという木造の建物をつなぐように増築して、人を迎え入れるような大きな屋根がつくられている。

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既存の二つの建物の間は、半屋外空間のようなカフェスペース。

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礁渓生活学習館。雨に濡れず強い太陽光からも守られるテラス空間がたくさんある。そこから川へ向かうブリッジが伸びる。

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道路をまたぐ西堤屋根付橋には、休憩スペースもある。

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川にたどり着くと、既存の自動車用の橋に寄生するように設置された津梅橋遊歩道を渡って向こう岸へ。

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台湾を代表する劇団のための拠点施設「雲門新家」。二階建ての旧軍用建築に覆いかぶさるように、増築部分が建てられている。

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既存建物と増築部分の間には、日光が差し込むボイド空間がある。基本的な考え方は、宜蘭美術館と共通している。

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代表の黃聲遠さんとは昨年12月に日本でお会いしていたこともあって、事務所のスタッフ皆さんとの食事に加えていただいた。ちなみに今回の旅の道連れは黃さんを紹介してくださった人でもある、近畿大学の堀口徹さん。

新年早々、良い旅をしました。