大阪府高槻市に昭和5~8年にかけて建設された、旧京都大学付属農場建物群を、都市公園の中の歴史教育拠点施設として改修を行った。安満遺跡は、約2,500年前に開かれた環濠(かんごう)がめぐる 弥生時代の居住地や水田、集団墓地などが見つかるなど、当時の近畿地方の社会を知る上で極めて重 要な遺跡である。また既存の農場建物は、京都大学建築学科一期生でありその後、京都工芸繊維大学の教授となった大倉三郎が設計した貴重な近代の建築遺産であり、文化財への登録が予定されている。

高槻市は旧京都大学付属農場の移転に伴い、その跡地を含めた一帯を「安満遺跡公園」として整備し、 弥生時代の安満遺跡を保存・活用するとともに、防災機能を備えた、緑豊かな公園を目指す取組を進めている。本計画では、弥生時代の遺構の上に重ねられた近代建築遺産という稀有な歴史的コンテクストを 生かし、二つの時代のレイヤーに現代という新しい時代のレイヤーを重ねることで、地域の豊かな歴史を感じられる場所となるよう、既存建物の外観は可能な限り保存し、内部空間も既存の雰囲気をできる限り 残すよう心がけた。

建物群を内包する歪んだ円弧状の盛り土は、発掘調査で明らかになった縄文時代の環壕跡をである。改 修後の建物は、出土物の展示室や、当時の暮らしや生活を体験可能な工房、カフェレストランなど、誰も が気軽にアクセスでき、様々な市民活動をサポートする多目的な公園施設となる。建物同士をつなぐ動線 計画にも配慮し、テラスやアプローチを建物を連結するように設け、点から線へ、線から面へと、一体的な 施設となるよう意図している。

所在地 / 大阪府高槻市
用途 / 歴史資料館、体験学習施設、飲食店
延床面積 / 1100m2

設計 /
一級建築士事務所expo
京智健建築設計事務所
森田一弥建築設計事務所

構造 / 門藤芳樹構造設計事務所
設備 / 幹設備設計事務所