先日某誌の編集長より電話があり、タイル建築の取材で海外に行ってもらえないかとの依頼。行きます行きますと二つ返事で引き受けて、うーんオレの得意分野は塗り壁系だけど、ええんかなちょっと違うような、いや、やっぱりタイルも結局土を焼いたものやし左官職人が貼るんやしオレしかおらんやろ、と納得・・・・・いやいやウソです、ご指名ありがとうございます。
というわけで、この件にかこつけてなかなか進まないトルコ出張の写真整理。今回は青いタイルで有名な街ブルサの建築。
これは、イシェル・テュルベ、トルコ語で「青い廟」という意味のお墓を納めた建物。外部の青いタイルは、イランのモスクのタイルのトルコ石色によく似ている。
内部はドームは白いドームに赤いラインが入っただけのシンプルなものだが、お墓や壁に貼られたタイルの色が今まで他のイスラム圏では見たことがないような深ーいエメラルドグリーン。タイルの形は六角形。
これは、イェシル・モスク、つまり「青いモスク」。平面の形は中央のドームの三方にさらにドームが連なるT型プランで、その後イスタンブールでオスマン建築の主流となる中庭型以前の過渡期のプランらしい。その後は中庭に配置されるようになる清めの泉は、中央のドームの下に置かれている。
プランの話もさておき、ここのエントランス脇にもこれまた珍しい深いグリーン色のタイルがある。下の方の色の違う部分は、おそらく後年の修復時に貼られたもの。同じものが作れなかったのだろう。
お祈りスペースのタイルは先ほどのイシェル・テュルベと同じ色の六角形タイル。ここではさらに珍しいことにタイルの上に日本の金泥のようなもので装飾が上書きされている。
これはムラーディエと呼ばれるオスマン帝国初期の墓所群。緑豊かな庭園の中にテュルベが点在している。イェシル・テュルベとは違って外観は石積みのまま。石の目地がレンガ色なのは、石灰モルタルの骨材に煉瓦の粉のようなものを使っているから。(いきなりコアな左官ネタですが)
ここのテュルベは内部をあまり公開していないこともあり、タイルの保存状態が完璧に近く、オリジナルの色を知ることができる数少ない場所だそうだ。これは内部にあったオリジナルのイズニック・タイル。鮮やかな赤色がイスラム圏では珍しい。
天井のドームの赤と青を基調にしたフレスコ装飾も色が鮮やかで、めちゃきれい。一般の旅行者でブルサに行く人って、結構珍しいんだけど建築に興味がある人は是非行くといいと思う。
つばき
綺麗だね。
トルコ行ったことないんだよな~。
アジアとヨーロッパの結節点。
行ったことあるヒトが、「非常にイイ」
と言っていたのを、記憶してます。
エキゾチックだねえ。
morikazu
アジア側からたどり着くと、トルコの雰囲気ってローマ時代の建築があったりしてヨーロッパの影が垣間見れるんだけど、ヨーロッパ側から訪れるとバザールの雑踏とか香辛料の匂いはアジアそのものって感じです。イスタンブールの、アジア側とヨーロッパ側を往復するフェリーからの街の眺めはちょっとよそでは見られないよ。運賃も100円くらいのこのフェリーは観光船じゃなくて、普通のイスタンブール市民の生活の足なんだな、これが。毎日の生活がアジアとヨーロッパの往復、しかもフェリーってのがいいよね。