先日、京都大原の久住鴻輔氏の倉庫を訪問して、久住氏が仕上げた黒い大津磨き壁を見てきた。これから山梨県に車で運んで田中泯さんの舞踏の会場構成に使われるそうな。色ムラも曇りもなく艶やかに仕上がった壁は、近年見たことがないくらいのレベルの仕上がりであった。

25日夜は、神楽岡にてモロッコの磨き漆喰「タデラクト」のスライド会を行う。題して「モロッコの左官職人 ~石で磨くマラケシュの漆喰技術~」。ネットで偶然この講演会のことを知って、はるばる東京から職人仲間と参加してくれた左官職人の大森基伊さんは、なんとモロッコの職人さんのもとでこの壁塗り作業を経験してきたという方であった。今は日本で当地の石灰を取り寄せながら、店舗の内装などでタデラクトを手がけているとのこと。
モロッコの左官の親方からもらったという磨き石は黒光りがして、いかにも使い込まれた道具という感じで一同羨望のまなざしでした。今は多摩川の石を拾っては片っ端からテストしているそうだ。写真は大森さんから頂いたタデラクトに使うマラケシュ産の石灰。予期せぬ贈り物だけに、うれしい。