東京へ来たついでに、先日のモロッコ建築のスライド会に東京からはるばる参加してくれた、大森基伊さんの手がけたお店を東京の池上本門寺近くに見に行ってきた。お店は「犬洗洞」という名前のペットの美容室。カット室の壁は荒木田土という東京の地元の壁土を使った左官仕上げで、立体的で不定形な形状の壁が切れ目なしに連なっている不思議な空間。

シャワー部屋が圧巻で、浴槽から壁、天井まですべてタデラクト(マラケシュ漆喰)仕上げになっている。いやーお見事。塗りつけてから磨いて仕上がるまで不眠不休で丸二日、かかったそうです。浴槽の中も、タデラクトの表面は水をしっかり弾いていた。

カット室の窓際にはなんと版築壁が。しかも、壁の上に穴を造って、そこを植木鉢代わりに植物を植えておられました。版築壁から直接植物が生えているように見える。応対していただいた店長の鈴木さんは、もと左官職人さんだったそうで、同級生だった大森さんと意気投合してそれでこの左官天国のようなお店が実現したとのこと。職人ならではのアイデア満載のいいお店でした。