マラケシュの町の中心にあるジャマ・エル・フナ広場は、世界一活気のある広場といって良いくらい、朝から晩まで色々な人たちを吸い込んでは吐き出している巨大な空間なのですが、酷暑の昼間をやりすごして夕方からは、さらに凄まじい人出で賑わっている。その中心にはいろんな食べ物を出す屋台が陣取っていて、観光客から地元の人たちまでごった煮になって、肩をぶつけあいながら歩いています。我々家族のお気に入りは、14番の魚のフライを出す屋台。
煌煌と光る屋台の電球の上には、暗い夜の空と屋台から立ち上る煙。屋台の傍らには、遊牧民の民族音楽を演奏するバンドが何組か陣取っていて、タブラとタンバリンの交差する独特のリズムが夜空にこだましている。祖先から受け継いできた音楽の遺伝子を受け継ぐ彼等の顔は自信に満ちて誇らしげだ。彼等を取り囲み、手拍子を打ち、踊り、歌う若者たち。同じ文化を共有する者たちの一体感と、それを傍らで呆気にとられて眺めている自分。その中には悪だくみをする連中も紛れていたらしく、海外で初めて手持ちのカバンからカメラをスラれてしまった。
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