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大学の同級生増谷氏と久々に再会、レンタカーを借りてカタロニアの小都市オロットへ向かう。ここには数年前にスペインの建築雑誌エルクロッキーで紹介されたRCR ARQUITECTOSが事務所を構えていて、大学の先輩の吉田さんが勤務している。昼過ぎにオロットへついて吉田さんに事務所を案内してもらい、昼食を食べながら事務所の作品の場所を教えてもらってレンタカーを走らせる。

森林公園の入り口にあるインフォメーションセンターの建物は、彼らの初期の作品だが、とても状態が良かった。鉄板の茶色い色が、森の中にしっとりとたたずんでいる。驚いたのはそのディテールのこだわりと施工精度。この小都市にあっても自分達の建築を世界に向かって発信するんだという、心意気をひしひしと感じる。

壁面に使われていたのは鉄板かと思いきや、エキスパンドメタルのような型押し模様のついた合板。それが端部ではハッカケに切られて角の鉄板に添わせられている。専門用語ばっかりですみません。

そして森を切り開いてつくられた陸上競技場。トラックの中央部には島のように森の一部が取り残されていて、トラックの反対側を走るランナーが木々の影に見えかくれする。競技場としては機能上問題があるかもしれないけれど、トレーニングするランナーにとってはとても気持ちのいいトラックだろうなあ。こんなトラックは多分世界のどこにもないだろうけれど、秀逸なアイデアだと思う。