5月24日の日曜日、同じ静原のカフェ・ミレット CAFE MILLETで漆喰塗りのワークショップをしました。

午前中は材料造りと下地の調整作業。まずは「漆喰(しっくい)」という材料の解説から。
漆喰の主原料は、小学校の運動場に白線を描くときにも使っていた「消石灰」です。漆喰は「漆を食べる」と書きますが、これは当て字であって漆とは何の関係もなく、「石灰(せっかい)」の読みがなまったものだという説があります。
水を含んだ消石灰(水酸化カルシウム)が二酸化炭素を吸収して石灰岩(炭酸カルシウム)になるのが漆喰の硬化のメカニズムで、石灰岩は高熱で焼くことで生石灰(酸化カルシウム)になり、それに水を加えることで再び消石灰になるという、自然界の物質のサイクルを利用した普遍的な技術が「しっくい」なのです。
日本の伝統的な漆喰では、消石灰に水を加えただけでは壁塗りの材料としては不都合が多いので、クラックを防止する繊維材料(通常は麻の繊維)と、保水性を高める樹脂質(ふのりや角又など海藻を煮たもの)を加えます。

今回のワークショプでは、日本の漆喰を少しアレンジして麻の繊維の代わりにワラを、壁の色に暖かみを与えるために黄色い色土を加えました。既存のモルタル壁には酢酸ビニル系の接着剤を薄めて塗り、下地が水分を吸いすぎないようにしました。

昼食は盛りだくさんのオーガニック料理。肉を一切使っていないにもかかわらず、野菜の味や香りが濃くて、おいしい!

午後からいよいよ、壁塗り作業を開始。みんな、夢中で漆喰と格闘している、いや戯れていると言った方がふさわしいかも。地元静原小学校の子供も何人か飛び入り参加して、大人に交じって漆喰を塗りました。

三時にはカフェミレットの樹里さんが自らコーヒー豆を煎って、コーヒーを入れてくださいました。こんな道具があるんですねえ。

セメント色の壁がみるみるうちに淡い黄色の漆喰の壁になっていきました。
今はプロの左官職人でも自分で材料を調合する人は稀で、既調合の製品に水を混ぜて塗るだけ、ということが多いのですが、今回のワークショップはきちんと材料の成り立ちから説明して、それらを調合することから始めてみました。
既調合の材料にも良いところはたくさんあるのですが、自分で調合することで「もの」の成り立ちを知ることはすごく大切なことだと思うんですね。僕はそれをよく香辛料を調合したカレーとレトルトのカレーなど料理に例えて話をするのですが、カフェミレットさんはまさに料理の世界で食材の「成り立ち」に立ち返る取り組みをされています。
今週から二ヶ月の間、アメリカのオクラホマから当事務所としては初めての海外からの研修生がやってくる。続いて10月にはスペインからも二人の研修生がやってくる予定。所員の西村君は昔使った受験用英単語本を引っ張り出して英会話に備えていましたが、さて、どうなることか。