新潟県出身の渡り職人、宮澤喜市郎さんが亡くなったという知らせを知人から2/17に受け取りました。
宮澤さんは「しっくい浅原」での左官修業時代に、幾つもの現場をご一緒させて頂く機会があり、本当にお世話になった方でした。
城や土蔵の漆喰現場で学んだ一流の技術だけを頼りに、車に積んだ鏝一式と腕一本で日本全国の渡り歩く「渡り職人」として、宮澤さんの生き方や壁を塗る姿、現場での雑談から色々なことを学ばせて頂きました。
とかく京都の伝統的土壁技術が最高のものだと考えがちな左官業界において、地域には地域に合った固有の左官技術があり、我々はその長所を組み合わせて、常に現代にふさわしい新しい技術に挑戦すべきだ、ということを具体的に、身を以て知ることができたのは、新潟出身の宮澤さんとの出会いがあってのことでした。その視点は今も私の建築的思考の根幹となっています。
宮澤さんがいつもの青い作務衣姿で、缶コーヒーと煙草を片手に、金閣寺の現場小屋で道具談義や壁談義に花を咲かせておられた姿が今も目に浮かびます。
ご冥福をお祈りいたします。
京都島原の角屋で赤の大津磨きを手がける宮澤さん(森田撮影)
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