空気膜を膨らませたドーム型枠にモルタルを塗ってつくる仮設住宅Sakan Shell Structureを、ちょうど一年前に防災EXPO2008というイベントで、建設しました。

2007年の3月に一棟目を建設することに成功して、これは2回目のトライアル。二日で建設して二日間展示、その後即撤収、という短期決戦への挑戦でした。僕はまだスペインに滞在中で作業には参加できなかったのですが、最近ようやくそのときの施工写真のデータをもらったので、遅まきながらご紹介します。

これは、空気膜を地面に固定するための合板のフレームの設置風景。砂をつめた土嚢袋は、空気圧で浮き上がる合板を押さえる重しの役割。

ドーム型の空気膜を合板のフレームに固定する。

ブロワと呼ばれる簡単な送風機で空気膜を膨らませる。

ドームの形に空気膜が膨らんだところで、麻のネットをかぶせる。これは、モルタルが硬化するまで空気膜の表面から滑り落ちないようにするための工夫。

薄ベニヤとコンパネで作ったフレームを設置。この部分がドームの開口部になって、出入り口になるシート膜はコンパネにビスで固定できるようになっている。

モルタルの塗りつけ作業を開始したところ。今回使ったのは白セメントとパーライトという軽量骨材、クラックを防止するガラス繊維。あと、気温が低いので職人さんの判断でセメントの硬化促進剤も混入したとのこと。全体に均一に10ミリ程度塗り付けて、一日目の作業は終了。

二階目の塗り作業。昨日のモルタルはしっかり硬化しているので、今回は厚みを増して強度を確保することと、表面を見栄えよく整えることが目的。

塗り作業が完了し、足場を解体したところ。

翌日には上に乗っても大丈夫な強度があったようだ。楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
滋賀県立大学に一棟目の実験ドームを建設したときと比べて、作業の勘所もわかって久住氏をはじめ職人さんは色々と問題点を改善するための工夫をしてくれているのがよく分かる。おそらく足場ももっと簡単なもので済ませられるだろうし、モルタルの配合にも改善の余地がある。やはり技術は現場での経験をフィードバックして進化していくのだなあ。課題ももちろんたくさんあるのだけど、これからも色んな機会を経てこの技術をどう発展させていくか、楽しみながら取り組んでいきたい。