事務所での1日@EMBT

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EMBT事務所に来て2週間、先週はマドリッドでコンペ後最初の万博パビリオンのプレゼンテーションがあり、その結果を受けてまた設計内容の変更や新たな模型製作が進められている。

所員の構成はベネデッタがイタリア人ということもあるのか、イタリア人が一番多くて、その他スペイン人、プロジェクトを抱えているドイツの人も多い。上海チームはプロジェクトディレクターの福田さんの下に、スペイン、イタリア、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン人と自分。こうやって書くと、サッカーの強い国ばっかりだなあ。

事務所での1日は10時から始まる、ことになっている。それでも、その時間に事務所に行くとまだ人の出はまばらで、10時半にかけてようやく所員が出そろう感じ。「オラ!ケタル?」と挨拶をして、何となく仕事が始まるが、朝食を食べてない人たちは12時になると近所のカフェにコーヒーとサンドイッチを食べに出ていく。

14時から16時までは2時間の昼休み。みんな家に帰ってゆっくり昼ご飯を食べてるようだ。だいたいバルセロナは、昼食を外食するとちょっとした定食でも1500円位するので、毎日は経済的にやってられない。自分はいちいち帰るほど家が近くないので、2時間の昼休みははっきりいって迷惑なのだが、作業を進めたくても強制的に事務所から放り出される。天気のいい日は、すぐ近くの海辺で弁当を食べ、ひなたぼっこや読書や昼寝をするがそれでも手持ち無沙汰。何かうまい過ごし方を見つけられたら良いのだが。

16時から仕事再開、20時まで仕事して、その時間になると皆さんきっちり仕事を切り上げて帰ってしまう。それはもう、気持ちいいくらいに引き際が良い。この国(事務所?)には「残業」という言葉はないらしく、プレゼンテーションの前日に22時くらいまで作業したのが唯一の残業らしい残業。その後みんなで食べにいく、ということもなくみんな自分の家で夕食を食べているみたいだ。みんな建築が好きだからここにいるのだろうけど、個人の生活と仕事とはお互いに不可侵な存在として、それぞれが尊重されている。すばらしいことだ。

ここしばらくこの事務所で一緒に作業して感じた印象としては、彼等は手当りしだいに模型をつくって、その中からふさわしいものを「選び出す」、という作業量で勝負、的な(別名SANAA的な)作業をしない。建築に与えられた数々の要求や制限を「解く」という意識もない。誰かが手を動かしてつくった何かの痕跡を、第二の「地形」としてプロジェクトに織り込んでいき、その手続きの積み重ねが建築にある種の「奥行き」を生じさせていく、と考えているようだ。だから模型に使う材料も、木やアクリルや金属などが多く、スチレンボードなどで手早く簡潔にすませる、ということをしない。

壁のディテールの関してはベネデッタからISSEY MIYAKEの作品集からとったものらしきコピーが廻ってきて、こんな感じにしたい、と。うーんあの素材でこのイメージかあ。どうやって経済的に施工するか等考えると、難しい注文。でも、所員の人たちは、まあやってみるしかないねーと楽観的に構えている。すぐに答えを出せ、でなくむしろしばらく楽しんでみろよ、と。とても有り難い言葉なのですが、現代の日本は効率良く作業してなんぼの世界なので、そこらへんのギャップにちょっと戸惑っている今日この頃。

3 Responses to “事務所での1日@EMBT”

  1. しき より:

    プロジェクトの進め方、そうなんですよねー。
    模型をたくさん作って案を選ぶってやらないですよね、こっちは。まさに積み重ねていく感じ。「解く」という感覚もあんまりない。
    長い昼休みは、昼食をゆっくり楽しむ、が一番ですよ!

  2. 核弾頭 より:

    >サッカーの強い国ばっかりだなあ。
    ↑日本以外はな!

  3. もりかず より:

    >しきさん
    職人やってた頃は、昼飯はとっとと食え、でしたから、所変われば、、、ですねえ。ところで、上記 核弾頭さんとは取材でご一緒したカメラマンの渡辺さんですよ。
    >核弾頭さん
    そこがイタイところです。今は円も弱いし、日本代表も相変わらずだし、踏んだり蹴ったりです。

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