コンペ@EMBT

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今週の火曜日は、マドリッドの集合住宅・マーケット等のコンプレックスのコンペの締め切り。普段は落ち着きのあるEMBT事務所も、ばたばたと慌ただしい雰囲気。時間的に厳しい、ということでマドリッドコンペ組は先週末は珍しく休日出勤。火曜日の昼頃に無事提出を追え、マドリッド組は早々と帰宅していった。休日出勤分はそのまま今週の週末に振り替えられ、彼らは長い週末を過ごしている。
このコンペではスタッフのひとりが数日かけて造ったラフな模型を、その後数人でああでもない、こうでもないと、変形をくり返していき、最後の模型が出来上がっていった。端から見ていると、最初のアイデアをみんなでだんだん育てていく、というような設計プロセスであるように感じた。

その一方では、11月末の締め切りを控えたソウルの河川敷のランドスケープコンペ組は、敷地模型を造り終えて、スタディに取りかかっている。彼らも今月末は大変なのかな。

スタディに際してプロジェクトのディレクターから韓国の水墨画の本がスタッフに渡された。それをコピーした上に片端からトレーシングペーパーをのせ、適当なラインを選んでペンでなぞっている。そしてそのラインを地図の上に重ねて、写真を撮って、という作業を始めるよう指示が出された。その水墨画のラインの中に、彼らは新たな「地形」を発見していこうというのだ。
このスタディを見ていて感じるのは、彼らは何かすでに「あるもの」に対してそれをうまく利用したり育てていくことにとても長けている、ということだ。そして何かを分かりやすく簡潔に表現しよう、という意図がないから、時間を経る毎にプロジェクトは複雑になり、一見して全体を把握することが不可能な、彼ら独特の空間に育っていく。それはかつては故ミラージェスの手から生み出されるスケッチのラインであったのだろうし、今ではスタッフが何となく造った模型だったり、どこかから借用してきたラインだったりするのだろう。そしてその素材「あるもの」が何であっても、やはりこの事務所ならではの空間にまとめあげられているのは、彼らの「育て方」がとても優れていることの証なのだろうと思う。
それを見ていて、晩年のピカソがプラド美術館にあるベラスケスの「ラス・メニーナス」をもとに、何十点もの連作を創り出したことを連想した。何もない場所から何かを生み出そうとするのではなく、自分のインスピレーションを刺激する素材を借用してそこから全く独自の世界を作り上げてしまうような創作の方法、という意味で彼らのスタンスは共通している。

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