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今日は、多分ほとんどの人が興味を持っているスペインやヨーロッパの設計事務所の給料について書いてみようと思います。僕の知っている情報も非常に限られたものですが、それでもこちらで仕事する事に興味がある人には、多少は役に立つこともあると思うので。

僕が通っている事務所に関していえば、よほど経験と能力のある人でなければ、基本的に最初の六ヶ月は無給、ということになっているようです。ということは世界各地からやってくる、研修生はよほど長期で在籍しない限り、すべての人が無給で働くことになります。大学の課程を終えて、建築家として来た人も、最初の六ヶ月は無給です。その後は1000ユーロ/月程度の給料が支払われるようになると聞きました。ただそれは、スペイン語でコミュニケーションする能力がある+事務所のメインソフトであるAUTO CADと3D MAXが使いこなせることが前提です(日本の学生の皆さん、海外で働く気があるならベクターはまったく役に立ちません、AUTO CADをやりなさい。そして語学も。)。有名事務所は所員も国際色豊かなので英語が話せれば事足りると思うのですが、結局は賃金は交渉によって決まるので不利な点は徹底的に突かれます。

スペインの他の事務所では研修生にもそれなり(600~300ユーロ)の給料が出るところもあるようですし、新卒者にも1000ユーロ以上の月給を出す事務所もあるようですし、さまざまですが、基本的に有名事務所は研修希望者の待機リストがあるくらいですから、賃金は厳しいです。また、所長の研修に対する考え方が大きく反映しています(仕事をさせてやっている、ととみるか、仕事をしてもらっている、とみるか)。

たとえ無給であっても、大学のように授業料を払う必要がなく、無料で著名なプロジェクトに参加できるというのは、それを必要としている人にとっては得難い経験だと個人的には思っています。また、ヨーロッパの研修生はたいてい奨学金をもらっているので、収入なしでも最低限の生活は何とかなる場合が多いようです。

僕が近所の公園で知り合った、中国人の左官職人は、日当が80ユーロ、月に20日働くので1600ユーロの収入だと話していました(単身なら充分、夫婦なら何とか暮らせる収入レベル)。出稼ぎの職人がそれほどの特殊技能があるとは思われないので、レンガ積み程度ができればその程度の収入は得られるのだと思います。建築家として働くより、よほど生活は安定しています。基本的にヨーロッパは建築家が需要に対して多すぎる気がしますし、EU後に人材の移動が容易になったことによって買い手市場により拍車がかかっている気がします。職人が修行するには現代のスペインは技術が低すぎてどうかと思いますが、それなりに見習うべき技術はありますし、日本で何年か修行した職人なら、もっと海外で勝負すればいいのにな、と強く感じました。建築家として勝負するより、よほど可能性があります。


最後に、先日サグラダファミリア教会を会場にして!!行われた、伊東豊雄+佐々木睦郎氏の講演会。