タイル談義@常滑

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京都市内某所の敷地模型を見ながら、プロジェクトの最初期段階の検討をしております。間口7.5m奥行30.3mの典型的な京都の敷地。高い建物が近隣にあったりして、結構難しい敷地。
17日は東京にて、昨年一年間の助成を受けたポーラ財団への研修報告。提出したのはわずかA4用紙3枚の研修報告書でしたが、細かい干渉なしに研修を温かく見守っていただいたことに、感謝しています。

その後、ちょうど会場が目と鼻の先だったJCDデザインアワードの二次公開審査会場をのぞく。ベスト100に残った作品のパネルが並べられていて、色々と他の人のプレゼンを見て回る。よくわかったのは、複数枚の提出なら一枚目のインパクトが大事(重ねて並べられる)、小さな写真を沢山並べてもほとんど見過ごされ、テキストはほとんど読まれない、ということ。少なくとも残り3つくらいに絞られるまでは、そうした状況で作品が選別されていきます。上位進出の可能性がなくなった時点で横浜へ向かう。

以前から見たいと思っていた、三渓園を見学に。プランが雁行型に展開する「臨春閣」と庭園の関係がとてもよかった。

19日は常滑のINAXライブミュージアムへ。昨年オープンした「土どろんこ館」の外部は地元で採れた土を突き固めただけの擁壁と、石灰と土の版築壁の外壁。オープンしてまだ一年というのに、擁壁の土は雨で流されていい感じに風化している。

内観はこんな感じ。建築家が手がけた建物の割には建物の骨格は「普通」。設計者の日置さん達が学生の頃に手がけた淡路島の「久住章のゲストハウス」は構造的にもかなり野心的だったけれど、今回はその点では特に挑戦は見られない。むしろ、その「普通」の構造体に分厚い版築壁を巡らせたり、インテリアに凝ることで、空間を魅力的なものにしようという割り切りがあるのだろう。
インテリアに関しては、左官に詳しくない人にとっては「こんなこともできるのか!」という驚きが沢山ある建物といえるでしょう。荒々しい壁はその勢いを殺さないように、細かい仕上げに関しても精度が高く、細かな心遣いがしてある。
様々な左官仕上げとは別に特に興味を引いたのは、床に敷いてあった「ソイルセラミックス」という製品。タイルメーカーの製品なのに、土を焼くのではなく水硬性の石灰を加えて固めた、左官材料に限りなく近いタイル。「左官」と「タイル」の間には、土を「焼く」という点で明確な境界線があったのに、ついにタイルメーカーはその境界線を踏み越えた、ということになる。となればINAXがこの建物のように「左官」を前面に押し出した建物をプロデュースする意図も理解できるが、左官業界は喜んでばかりもいられないだろう。

トイレの外壁に塗られたピカピカに光る漆喰仕上げは、左官を手がけた久住有生氏オリジナルの黒いイタリア磨きと、同じく赤のイタリア磨き。仕上がりはさすがだが、下地が薄くて壁を叩くとポコポコ音がするのは残念。「大理石」や「鉄」をイメージさせる重厚な仕上げなんだから、せめて10ミリくらいは中塗りを塗って仕上げないと、出来のいい壁紙と大差がない。
その後、学芸員の後藤さんに「世界のタイル博物館」を案内していただき、今までタイルについて疑問に思っていたことをずいぶん教えていただいた。タイルの世界も奥が深い。ちなみに今回の訪問の内容は、次回のiA誌(エクスナレッジ社)で紹介される予定です。

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