土嚢建築@東アフリカ

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8/2は京都の住宅のプロジェクトの打ち合わせに大阪へ。土日祝日は基本的に事務所は休みにしているが、打ち合わせはどうしてもこの日になる。ただ、週末は電車が混まないので、模型を持ち歩いたりすることを考えると、案外有り難かったりする。

今回はヒアリングを経ての一回目のプレゼンテーションだったので、予算案、スケジュール案、契約書の見本などの資料をお持ちして、プロジェクトを円滑に進めていくために必要な事項をきっちりと説明。そして「たたき台」として持参した模型を前に、色々と考えを述べたり質問をしたりして、最初の打ち合わせではお聞きできなかった希望や嗜好を知ることができた。

一回目のプレゼンテーションに「勝負模型」を持参して、一気にクライアントに惚れ込んでもらう、というタイプの建築家もいるが、自分はどちらかというと「最低限これくらいの仕事はできますよ」という提案を織り込みつつも、「咬ませ犬」ならぬ「咬ませ模型」的にクライアントの要望を引き出す役割の模型を持参するようにしている。その方が自分の思いこみや好みから自由になって案を展開していくことができると思うからだ。

8/3は家族で八瀬の河原へ行って、川遊び。河原を風が吹き抜け、気持ちいい。子供は浅瀬で魚取りに夢中。

3日夜は渡辺菊眞氏による「土嚢と建築 – From Earth-bag shelters to Architecture」の講演を神楽岡にて聴講。セメントと土を混ぜて土嚢に詰め、それを積み上げてつくる「土嚢建築」の工法の特色から、この工法が今後どのような「建築的展開」を可能にするのかという話、そして今月末から現地に渡航して作り始める東アフリカでのプロジェクトの内容まで、八年間の活動をまとめた圧巻のスライド会。

この工法に個人的にとても興味があったのは、カタランボールト工法と同じく型枠なしでドームをつくることができる工法だから。その工法の創始者がイラン生まれのアメリカ人建築家ナーダ・カリーリ、ということから解るように、どちらの工法もイスラム地域のレンガ積みの技法に起源がある、兄弟のような技術なのである。渡辺氏によると、カリーリは土嚢工法の創始者ではあったが、イランのレンガ積みの価値観にとらわれていたせいか、その工法のオリジナリティを生かした建築をあまり追求できたとは言えないようだ。渡辺氏は、土嚢ドームだからこそ可能な建築表現を追求していきたいと語っている。

大学の同級生である渡辺菊眞氏は、学生時代からダントツに優れた造形力と空間の構成能力の持ち主で、設計の演習でも段違いのレベルの作品をつくっていた。そんな彼が「土嚢」という具体的な技術・素材を手にして、持ち前の設計力で建築的に新しい境地を開拓していく、ということで今後の渡辺菊眞氏の活動にはとても興味がある。しかも、現代の有名建築家のほとんどの仕事が、資本家が利益を効率よく得るための道具として利用されているのに対し、彼の仕事場はインドや中東、アフリカの貧困・災害地域の支援プロジェクト。真に切実に建築が必要とされている地域で、建築家に何ができるのか、という課題は自分にとっても重い問いだ。

今週は京都のプロジェクトを打ち合わせを踏まえてバージョンアップさせることと、週末の愛知でのプロジェクトのプレゼンに向けて資料の整理と模型の作製などを進める予定。

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