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福井市で行われているイベント「フクイ夢アート」に昨年に引き続きお声かけいただき、韓国の現場から一時帰国して参加してきました。今年は昨年もご一緒した左官職人の久住有生氏と、今年新たに加わった建築家 前田茂樹氏との三人、プラス福井大学、大阪工大の学生たちによる共同プロジェクト。 敷地は福井市役所のすぐ脇にある福井市中央公園。子供たちの遊具が並び大きな樹に囲まれた一角に、福井の土を版築で突き固め、大きなベンチのような、切り株のような、富士山のような形の物体をつくりました。

版築作業は9月28、29日の二日間。前日までに大工さんに型枠を組んでもらい、準備万端。

まずは朝の集合時に参加者が自己紹介したあと、久住さんが作業の手順を説明。

版築の配合は、久住さんが事前に材料を試験して準備してくれたもので、福井の土を数種類と砂利とセメントを混ぜたもの。(版築には土だけを突き固めたものも多いですが、今回の作品は雨ざらしになる公園の中なので、耐候性を向上させるために少量のセメントを混ぜています。)

固めに練った材料を、版築用に鉄板を溶接したハンマーで、突き固めていきます。左手前が今回のプロジェクトの中心となってくださった前田茂樹さん。

仕上予定の高さから10センチくらい控えた高さで、初日の作業は終了。そして夜は恒例の麻雀大会。

二日目は上の面を仕上げていきます。

版築部分と下地の砂利の切り替わり部分は割れが入りやすいので、鉄筋を埋め込みました。

そして中央が盛り上がったような形に土を叩き締めていきます。

最後の表面の仕上作業。粗すぎず、綺麗すぎず、土らしい表情に。

二日目午後からはいよいよ型枠の取り外し作業。皆が固唾をのんで見守ります。そして型枠を外すと現れる、地層のような美しい土の層。

型枠の固定金物の穴を補修して、ついに完成。

公園の土がそのまま盛り上がって固まったような、この場所に昔からあったような、自然な佇まい。

さっそく座ったり寝転んだりしてみる学生諸君。頭上には公園の木々の枝葉が見えて、本当に気持がいい。これからこの近所で働く人たちの昼寝スポットになる予感。そしてこれを囲む、みんなの満足そうな顔が印象的でした。 土壁や漆喰については色々な現場を経験してきましたが、実は個人的にも版築作業ははじめてで、貴重な経験をさせてもらいました。

お手伝いいただいた福井の職人さん、学生の皆さん、そして前田さんと久住さん、お疲れさまでした。