神楽岡通りで見かけた地蔵堂、総左官仕上げで造ってあったので思わず撮影。京都には「地蔵盆」という風習が残っているので町内に地蔵堂があるのが普通なんだが、各町内の地蔵堂のデザインや素材の違いを色々と見比べていくと面白い。
形は大体お寺のミニチュアみたいな形だから、大工さんが木で造ってるのが一番オーソドックスなんだけど、左官屋さんがセメントで造っているのも案外多い。セメントで造ってるからヨーロッパの民家みたいにドーム型にするのが素材としては適切なんだろうけど、あくまで木造のデザインを踏襲しているところが日本の左官屋さん。戦後の木造のディテールを採り入れたRC建築を彷彿とさせる。
仕上げはすべて「人造石洗い出し仕上げ」。セメントに色んな種類の砂利を混ぜて、表面のセメントを洗い流すことで本物の石に似た表情を出す。昭和初期の洋館などによく使われた仕上げだ。柱も、屋根も、鬼瓦もトコトン洗い出しで仕上げている。おそらくあまり予算が無くて、複数の職種が関わる(大工さんと板金屋さんとか)と予算オーバーしてしまうので器用な左官屋さんに「全部左官でやってくれ」みたいな依頼があったのだろう。職人さんの苦労が偲ばれる。