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1月27日から31日まで、セビリアを中心にアンダルシア旅行に出てきた。

27日朝のフライトで、満田さんと一緒にセビリアまで。セビリアではカテドラルを見て、そのまま列車に飛び乗って一路コルドバを目指す。

コルドバのお目当ては、街の中心にあるメスキータ。巨大なモスクの中心に、レコンキスタ後建てられたカテドラルが鎮座している。

おそらく古いローマの遺跡から拝借した円柱の上に、イスラムのアーチが懸けられ、大列柱空間を形成している。圧巻。

面白かったのが、レコンキスタ後にここを占領したキリスト教徒による、この空間の転用ぶり。たとえばこの写真では、典型的なイスラム風の幾何学的タイルと石膏彫刻のアーチをそのままに、聖人の像を飾ってしまっている。

キリスト教の痕跡を徹底的に隠そうとしていたイスタンブールのアヤソフィア(現在はモスク仕様)とは対照的で、その「使えるもんは使っとけ」精神は潔くてよろしい。僕のかかわった建築も、願わくばこれくらい「使い倒して」欲しいし、それくらいの「強さ」を秘めたものにしたいものだと思う。

コルドバで満田さんと分かれ、ポルトガル国境に近いメリダの街をめざす。

バスの運ちゃんが自分の好きな曲をかけて、鼻歌まじりに運転している。マドリッドやバルセロナの大都市ではなかなか見ることの出来ない、のどかなスペインの生活の一こま。

道沿いの牧草地帯。とにかく空が青い!

メリダの街はローマの遺跡で知られた街で、この写真のローマ劇場のほかにも水道橋など色々とみどころがある。

この街の旧市街の住宅に、カタランボールト工法でつくられていると思われる、螺旋階段を発見。カタランボールト工法は今でこそ「カタルニア」というスペインの一地方の名前で呼ばれているが、古くは広くスペイン全土で使われていたのだろう。それを裏付ける一例。

もう一つの発見は、これもイスラム文化券経由で伝わった、カタランボールトよりさらに古いボールト積みの技法による天井を見つけたこと。ボールトのレンガのアーチが外側に傾けて積まれているのが分かるかな?

こうすることで、レンガの重みを壁に逃がし、型枠なしでボールト天井をつくることが可能だったのだ。文献でしか見たことが無かった積み方なので、ひとりで興奮を味わう。

メリダの街はずれにあるローマ時代の競馬場跡にて。もう,春です。

メリダに一泊後、セビリアに戻ってそのままアルコス・デ・フロンテーラという小さな村へ。アンダルシア南部の典型的な白い家々が小高い丘に沿って並ぶ。

細い道の間から、平原の景色が遠望できる。

最後にセビリアに戻って、アルカサルへ。キリスト教の王朝がイスラム職人を集めてつくらせたムデハル様式の宮殿。

柱の上の石膏彫刻。モロッコのマラケシュで見たものと、ほとんど変わらない。

セビリアの街を見下ろすヒラルダの塔。モスクのミナレットとして建てられた塔の上に、これまた「使えるものは使って」精神で鐘楼を増築したもの。以外と美しい調和を見せている。

最後に、アンダルシアのどこへ行ってもたわわに実をつけていた、オレンジの樹。