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梅雨入りしたというのに、まだ時々床暖房のスイッチを入れてしまう涼しさの静原です。京都市中心部へ向かう途中の鴨川上流部は新緑がとても綺麗。
このあたりは川岸の樹木もでかい。
6/1はクライアント候補のご夫婦との打ち合わせで大阪へ。なんでもモロッコに旅行した時に見たモロッコ漆喰「タデラクト」が気に入って、検索して事務所のサイトを見つけてくださったらしい。こんな個人的でローカルな興味でも、インターネットは人と人を繋げてくれる。むしろ、ローカルに徹することで世界が広がるのだ、ということを痛感する。
6/2は先日の一次審査を通過したJCD DESIGN AWARD 2008の二次審査用のプレゼン作業。僕の関わったプロジェクトでは「Shelf-Pod」と「SAKAN Shell Structure Project」がベスト100に残っています。プリンターが調子悪くて、結局提出締め切りに遅れる。まあ、これでアウトということはないと思うけど。
6/3はルームマーケットにてウェブ上の企画の相談。その後、京大布野研究室の後輩の事務所を突撃訪問。まずは魚谷繁礼氏の事務所へ、jtにも掲載された現代町家の作品とか、北山通りの集合住宅の写真を見せてもらう。その後、柳沢究氏の事務所にも突撃訪問して、計画中の住宅の模型を見せてもらいながら、このカーブはよくわからん、など言いたい放題する。その後、構造家の門藤芳樹も合流して居酒屋で飲み会。今まで布野研究室出身で独立している建築家は少なかったのだけど、最近同窓の仲間が増えてとてもうれしい。
事務所訪問の往き道で久しぶりに祇園花見小路を通る。昼間に通るなんて久しぶりだが、さすがにこの通りに軒を連ねる御茶屋さんは凝った造りのものが多くて、土壁の色や表情も豊かだ。
「一力」の紅い壁は相変わらず迫力があって、木部との色のバランスもいい。壁土にベンガラを入れて水ごねで仕上げた、ごまかし無しの京都の土壁だが、目線から遠くて壁の表情が見えないのでほとんどの人はペンキと区別がつかないだろうなあ。顔料で造った強い色の壁はインパクトはあるのだけど、光の状態で移り変わる微妙な色を楽しむという、土壁の本来持っている魅力はわかりにくい。
ここは結構新しく普請された御茶屋さんだが、錆土の水ごね仕上げが地味でもなく、華美でもなく、とても品がよい。ちなみに錆土は京都周辺でとれる、山吹色の壁土のこと。大阪土ほど赤みが強くない。
こちらは黄聚楽土に鉄粉を入れて水ごねで仕上げた「蛍壁」。鉄粉の周囲に聚楽土の黒っぽい「さび」が浮いて、蛍が飛んでいるように見える仕上げ。僕の好きな仕上げの一つ。僕の手がけた「ラトナカフェ」のトイレの外壁にも使っていて、自分の手で仕上げています。
6/4は近所で「熊が出没しました」というお知らせが。うーん、気をつけようにもどうしようもないな。このペースだとイノシシが出没するのも時間の問題のような気がする。午後には以前事務所があったビルのオーナーさんと、改修の相談の打ち合わせ。
6/5は雑誌の取材で「Shelf-Pod 」の撮影。以前タイルの取材でモロッコ、マレーシア、ポルトガルを苦楽をともにして旅して回ったおなじみのメンバーで。この建物のお施主さんも偶然ながら、タイルにものすごくこだわりのある方だった。
カメラマンの渡辺さんによると、たいていの建物の撮影では建築家がそれとなく撮ってほしいカットを伝えてくることが多いらしい。今回は僕は渡辺さんがどんなカットを発見してくれるのか楽しみだったこともあって何も注文を出さずに見ていたのだが、時間が経つにつれて色んな発見して下さった。夜はお二方が静原に来られて、食事とお酒を飲みながら積もる話をして、そのまま静原泊。
6/6は事務所で作業。夜は神楽岡にて庭師、大工連中と飲み。出会った頃は自分も含めてまだ丁稚や学生だったけど、今はみんな経験を積んでいっぱしの職人になりつつある。我々のお楽しみも、いよいよこれから、ってとこですかね。
いなと
えー!どの辺が一端なのか、また会いたいです。たっぷり説教せなあきまへんなあ。