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パリから帰って一息ついて、またリヨンへ飛びました。

空港のすぐ横にはサンチャゴ・カラトラバ設計のリヨンTGV駅が。

彼の作品はとにかく圧倒的なモニュメンタリティがあるから、ヨーロッパの自治体の首長がこぞって欲しがるのもよく分かる。

構造的に合理的かどうか,などの専門的な見方は別として、彼の設計した橋を渡ったり、空港や駅へ降り立った時の爽快感は、大多数の人々が体験する感覚じゃないだろうか。それが「観光」が都市政策において重要なヨーロッパで「移動」のための施設に彼が重宝される理由なんだろうという気がする。

リヨンのオペラハウス。ジャン・ヌーベル。

エントランス・ロビーも劇場内部も黒一色。一転してトイレや廊下は赤一色。この配色を大都市のオペラ座でやってしまうところがすごい。ちょうどその夜、現代バレエの公演をやっていたので、見る。わけわからず。

翌日はリヨンから半時間ほどの街にある、コルビュジエのラ・トゥーレット修道院へ。

三食付き45ユーロで修道院の個室に泊まれる、はずだったのだけど現在コルビュジエの設計した修道院は改修工事中で、見学は出来るけれど建物への宿泊は不可。ただ、すぐ横の建物にある個室に泊めてもらえる。

昼頃に着いて,素朴でおいしいランチを頂く。午後はずっと建物をみたり周囲の森や草原を散歩した。

何とものどかなフランスの田舎の景色が広がる。その日の見学者は自分一人だけらしく、通常はガイド付きのツアーでしか見学できないところを、鍵を渡されて建物を自由に堪能できたのが良かった。

夕食時に、コルビュジエが好きで見て歩いているという日本人のご夫妻と知り合う。コルビュジエを見に来る人は建築関係者しかいないだろうと思っていたので、しかもそれが日本人だったことが、ちょっと驚き。

ただ、建物の芳名帳には日本人より韓国人や中国人の名前の方が多かった。ヨーロッパの電化製品は、いまや日本製よりも中国や韓国製の方が圧倒的に優勢だが,建築家もうかうかしていられない。

帰宅して、翌日は久しぶりに市場で魚を仕入れる。

その夜は、サーモンと鯛のような白身魚のにぎり寿司。この1年は、海外にいたにもかかわらず、人生で一番寿司を食べた1年になりそう。