同級生@東京

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前回からずいぶん間が空いての更新になってしまった。
10/8、大学時代によく遊んだ同級生の友人から、東京で家を建てたいんだが、、、という相談あり。予算が厳しく、遠隔地にもかかわらず設計料も限られてくるので出来るかなあ、、、と思うがとりあえず近日中に現地を見に行くことにする。

大学卒業後に5年間、左官の修行でお世話になった浅原雄三親方から連絡があり、現在修復工事中の京都南禅寺近くの「織宝苑」の現場にお邪魔する。明治期の代表的な作庭家・小川治兵衛の手がけた庭園と数寄屋建物で、東山を借景にしたスケールの大きな庭園と、その景色を楽しむために雁行状に展開する建築は、気楽に訪れることができる観光地とは比べものにならないくらいレベルが高い。これから左官工事は仕上げの工程に入っていくが、思わず明日から鏝を持って現場に来させてください、と言いそうになるほど高度で多彩な仕上げのオンパレード。

10/12、愛知県へ車を走らせて津島市の住宅の打ち合わせへ。京都市内の混雑を避けるために静原から北へ向かい滋賀県経由で名神~新名阪コースを試したところ、1時間50分にて現地着。建具なども作り込んだ模型での打ち合わせと、建物の平面のプロポーションの最終調整のために予定建物周囲を実測。敷地内に36年前に無許可で建てた農機具小屋があり(この時代の田舎では普通のことだが)、それが確認申請時にちょっと問題になりそうだ。まあ、「Shelf-Pod 君府亭」の時の事情と比べる些細な問題なので、何とかなるとは思うけど。

10/13 朝に実家を出て、京都に戻る。気持ちのいい秋晴れの日。学生時代に旅先で知り合った早大建築出身の友人が、東京から関西出張のついでに静原を訪問してくれた。現在、千葉県のOMソーラーなどを手がける工務店の設計スタッフとしてがんばっているらしい。首都圏郊外の工務店の手がける物件は2000万円というのが一つの目安としてあるらしく、その価格帯でなるべくスペックの高い住宅を供給するシステムを作る、というのは昨今の工務店にとって生き残りに向けて最大のテーマであるようだ。奇しくも先日の同級生の提示した予算も同額で、東京で「普通」に家を建てたいと思う一般の人にとってはひとつの「相場」なんだなあ、と腑に落ちるところがあった。

10/16、東京へ。昼食時に友人と落ち合い、現地を確認。周辺を色々と歩き回って、街の雰囲気やスケール感、生活感を確認する。時間があったのでそのまま戸越公園近くの松岡聡田村裕希事務所を訪問させてもらった。設立以来、国内海外のコンペで入賞を繰り返している彼らの仕事ぶりに興味があった。事務所の中央の机の上には、現在取り組んでいるコンペのスタディ模型が山盛り状態。ちょうど事務所にいた田村さんにコンペの模型の解説をしてもらったり、彼も住んだことのあるバルセロナの話をしたり。夜は友人宅で夕食をいただいて、家を持とうと思うに至った経緯や、どんな場所を欲しているのか、そんなことを聞かせてもらう。

10/17、再度現地へ行って細部を確認し、東工大の坂本一成展を見て京都へ戻る。


10/18 大文字山の麓にある八神社で秋祭りの夜店が出ていると聞いて、家族で繰り出す。夜店には煌々と境内を照らす電灯の光、参道にはぼんやりと石畳を照らす提灯。ここのお祭りは、夜店もプロのテキ屋じゃなくて地元の人たちが手作りで運営しているから、子供への応対も本当に温かみがあって楽しく過ごすことが出来る、いいお祭りだと思う。

10/19 秋晴れの日曜日。畑仕事や買い物などをして過ごす。家の前にある我が家の小さな畑は、トマトやナスの季節もすっかり終わって大根や水菜やカリフラワーなど冬野菜に様変わり。妻はすっかり畑仕事にハマってしまって、近所の畑を見たりコツを聞いたりして、研究に余念がない。

10/20 木工家の戸田直美さんに紹介してもらった村上椅子さんに、実家で長年使っていた椅子を持ち込んで、すっかりくたばってしまった布の張り替えをお願いする。解体した椅子の仕組みなど見せてもらったが、とても面白い。京都周辺で古い椅子をお持ちで、張り替えを考えておられる方がいたらおすすめです。妻を連れて行って張り地の布のセレクトを任せてみたら、なんだかすごい組み合わせを指定していた。できあがりがすごく楽しみ。

10/24 東京フィルムフェスティバルに招かれて来日中のスペイン人映画監督、ホセ・ルイス・ゲリンを案内して雨中の京都観光。彼のことや作品を知っていたわけでもなく、特に映画に詳しくもないのですが、彼自身も映画祭関係者のアテンドは断っていたようなので、むしろ知らぬが仏、来るもの拒まずの精神で引き受けた。久しぶりにスペイン語と英語チャンポン攻撃を繰り出してきた。

庭を見たい、ということだったので竜安寺の石庭のほかはメジャーなところは避けて京都御苑、その中の拾翠亭、上賀茂神社などにお連れする。彼は建築に限らず庭の植木や石の配置を含む空間全般に非常に敏感で、映画をつくる人間らしく、茶庭の中を歩くことで刻々と展開する庭の景色に特に興味を示していた。さすがだ。最後に、京都市内とはまた違う田園風景と集落を見てもらうために、静原へ。一年のほとんどが晴天のバルセロナから来た彼にとって、雨上がりで水蒸気が山の斜面を立ち上る静原の景色は水を吸った木々の匂いとともに印象深かったに違いない。

10/25 大阪にて、京都市内の住宅の打ち合わせ。まだスケジュールに余裕があり、またこちらも方針を絞り切れていないので、毎回色々な模型をお持ちして可能性を探っている状態。ただ昨今の建設コストの上昇も心配なので、そろそろ概算の見積もりを出して予算的に可能な提案の範囲を把握しておきたいところ。
夕方から、アーキフォーラムで平田晃久氏の講演。よどみない言葉とともに繰り出されるプロジェクト数々、見事だった。同じ年に大学院を卒業し、その後全く会う機会がなかったので、実に11年ぶりの再会でもあった。

そんな二週間。その間、株と並んでユーロも大暴落、ついに1ユーロ=110円台。超ユーロ高に苦しんだ3月までのスペイン生活、今のレートならもっと色んなことが楽しめただろうに。。。と己の不運、特に金運のなさ、がうらめしい。

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2 コメント

  1. 円ユーロのレートを見て、「森田くん、今頃行ってれば...」とヨメさんと話していました。
    またいつかヤタさんの顔が見たいですね。

  2. もりかず

    昨年一年苦しんだだけに、今でもパソコンのスイッチを入れるたびに円ユーロのレートを見るのが習慣になってしまっています。ここしばらくの暴落するユーロを見ている複雑な心境をパチンコにたとえると、さんざんお金をつぎ込んだ台が、自分が席を離れたとたんに大当たりしている、そんな気分です。まあ、まじめに仕事しろ、っていう神のお告げだと思ってがんばります。

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