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一年間のバルセロナ滞在の残りの二週間は、建築に関する事以外にも様々な用事があり、慌ただしく過ぎていきました。

ノルマ1:子供にお願いされていた、バルサの選手のサインゲットのため、マンチェスターとの試合に向かう選手を空港で待ち受ける(バルサチームの乗るフライト情報の提供をして頂いたバルセロナ在住のカメラマンNさん、ありがとうございました)。バルサの専用バスが空港に着くと、まずは新監督のティト・ビラノバが登場。続いてテレビで見ていた憧れの選手が続々と歩いてきました。世界最高のサッカーチームとの対面だけに、自分も子供たちも緊張の一瞬。

そしてまずは一番に狙いを定めていた、スペイン代表アンドレス・イニエスタ選手にお願いして、サインと写真をゲット。このブログでも何度も取り上げましたが、彼は今夏スペインが優勝したユーロ2012大会の最優秀選手でもあり、またFCバルセロナの選手の中でも、一番人々に親しまれている選手。息子たちとの記念撮影にも気さくに応じてくれました。

その横をプジョルやセスク、シャビなど超有名選手が次々と通り過ぎていきます。うー、こんなときには自分が三人欲しい。

もう1人のターゲットだったアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手は、やはり人気者で周囲に人が多く、子供たちも少々気後れしてサインはもらい損ねたのですが、本人はとても小柄で性格も大人しそうで、とてもサッカー選手には見えないような青年。

たいていのプロスポーツ選手は、実際に会うとその体の大きさに驚かされるものですが、バルサの選手はホントにみんな小柄で、びっくりしました。

ノルマ2:バルセロナのビーチでの海水浴。七月に入ってから色々と慌ただしく、あまり海にも行けてなかったので、最後の日曜日に家族で出かけました。バカンスのシーズン本番なので、海岸は大変な賑わい。

昼間は太陽の光が強過ぎて、砂浜にいるのが大変なので、地元の人はたいてい日が傾く午後三時頃からビーチに向かいます。夜の八時近くでもまだ泳いでる人がいる。帰り際に記念撮影。

ノルマ:3 近所のお店に出かけて、日本にもって帰るお土産の買い出し。色々持って帰りたいものはあるんだけど、あまり重いものは無理なので、出来るだけ軽くてかさばらないものを選ぶ。

そして、仲良くしてくれた友達にお別れの挨拶。

夜逃げのような有様の怒濤のパッキング作業。結局スーツケース5つ、段ボール箱5つ、プリンターなど手に持てるものは可能な限り機内持ち込み。

そしてフライトは行きと同じくアエロフロート・ロシア航空。バルセロナからの帰路は乗り継ぎが悪く、なんとモスクワで半日のトランジット。それならということで、わざわざ前もって取得したトランジットビザで、寝不足の中モスクワ観光に出かける。こちらは赤の広場、右手に見えるのがクレムリン宮殿。

赤の広場に面して建つ、聖ワシリー寺院(1560)。大小色とりどりのタマネギ型ドームのバランスが素晴らしい。完成後イヴァン4世はこれより美しい建造物が建てられることを恐れ、設計者ポスニク・ヤーコブレフの目を潰して失明させたという伝説がある。うーん、建築家として頼まれたら二つ返事で引き受けたい仕事だけど、そんなクライアントはちょっと(いや、かなり)困る。

広場に面してクレムリンの対面にある、グム百貨店(旧ソ連国営百貨店)にも再訪。

帝政ロシア時代(1893)に完成した建物は、冬の寒さの厳しいモスクワで、冬でも明るい日光の下でショッピングが楽しめるパサージュ空間。ソ連解体後すぐの以前よりは、かなり雰囲気が華やかになった。でも、買い物客の多くは観光客。特に中国人多し。

そのパサージュにロンドンオリンピック記念企画?として卓球台が並べられていて、世界の一流ブランド店がずらりと並ぶ店先で、うちの子供たちが卓球に興じるというかなり場違いな状態に。スマッシュの打ち損ねがお店の中に転がって、スーツをバチッと決めた店員さんに拾ってもらって、冷や汗をかく。

その後、歩行者天国として知られるアルバート通りに行ってみた。

似顔絵描きやストリートミュージシャンがいて、それを取り巻く人で賑わっている。ここに限らず、モスクワのストリートミュージシャンのレベルは、バルセロナに比べるとダントツに高い。妻はここで小さな銅版画を一枚購入。 1993年以来のモスクワでしたが、人々の暮らしは世間で言われているほど豊かになっているようにも見えず、ただ物価だけが以前の数倍に上がっている、という印象。そして現代のヨーロッパでは必ず見かけるアジア、アフリカ、中南米からの移民がほとんどいない。

その後、睡眠不足でフラフラになりながら何とか成田空港に到着、19日夜、無事に自宅のある京都静原に戻りました。 乾ききった、スペインの大地とは対照的な、湿気の充満した、緑溢れる日本の大地。田んぼの稲には、早くも色づき始めた稲穂が見えます。

石垣と瓦屋根、懐かしい町並み。

静原神社の前の道。

静原神社の境内は、蝉の鳴き声でいっぱい。神様に一年間の家族の無事を感謝しました。

物でごった返している自宅を少しづつ片付けつつ、事務所の活動もぼちぼちと再開しております。