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ポルトガルの建築に欠かせない要素であるタイル、ポルトガル語でアズレージョと言います。アラビア語起源のこの言葉と同じように、タイルの文化そのものの起源はイスラム文化圏から伝わって来ています。ただし、それが色々な文化と交わって、多彩な展開を見せているのがポルトガルのタイルの面白いところ。

ポルト市の景観。斜面に続くレンガ色の屋根の家並み。

舗道は大理石のモザイク、窓枠には花崗岩、壁にはタイル(もしくは漆喰)というのが基本アイテム。

目抜き通りに面した教会。ポルトガルに多いこの白地藍彩のタイルは、18世紀頃に東洋から運ばれてくる陶磁器に影響されて生まれた。それにしても、壁一面を白地藍彩タイルで覆うというのは、東洋では見られないポルトガルのオリジナルな展開。

 

街路に面してタイルの大壁画、すごい迫力。絵のモチーフは、ルネッサンスやバロック絵画の影響が強い。

こんな美術品の隣を市民の人たちが行き交っている。

もう一つ、庶民街にあった教会のファサード。

こちらのタイルは、もう少し幾何学的でイスラム風。

こちらはポルト郊外のマトジニョスにあるアルヴァロ・シザの旧家。今はシザの資料館になっていますが、こちらの外壁もタイル。

色づかいは赤緑黄色でスペインのマジョルカタイル風。

ポルトの玄関口であるサン・ベント駅も青白タイル。ポルトの歴史的場面が描かれている。

今年のプリツカー賞を受賞したソウト・デ・モウラの設計したメトロの駅。地上の光が差し込むトップライトがある。

メトロの駅の壁には、これまたタイルが使われている。すこし水色がかったタイルで、昔ながらの湿式工法でつくられているために色や形が不揃いになっているのがいい。

こちらも地下鉄駅の地上部分.

一枚一枚がすこしいびつなタイル。

ポルトガル建築というと、白い漆喰壁が思い浮かぶけれど、どっこいタイルも見逃せないのです。

あと、ポルトガルは甘いものがおいしい。

カステラとかボーロとかコンペイ糖(コンフェイトといいます)とか、日本にもあるお菓子の名前がたくさん。

そんなポルトガルで、建築をたくさん見てきました。
写真はまた追って紹介してきます。

ポルトガルのアズレージョの歴史については、以前私が雑誌で取材執筆した記事(「iA interior/ARCHITECTURE 04」(2007年1月28日発行・エクスナレッジ社)連載「タイルが紡ぐ小宇宙」において「ポルトガルのアズレージョ」を執筆)があるので、興味がある方はそちらもぜひ。