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スペインの誇る料理人、フェラン・アドリアのことを知ったのは、日本にいる時に朝日新聞の日曜版で彼の記事を読んだのがきっかけ。彼の主宰するレストラン「エル・ブリ(ブジと発音する場合もある)」はミシュランの三ツ星も獲得している超有名店ながら、スペインの地中海岸のフランス国境近くの田舎町にある。そういえば、京都吉兆の徳岡邦夫さんにお会いした時も、今はスペインの料理界が面白いんだ、というお話をされていた。

いくらバルセロナに居ると言っても、年間数百万の申し込みがあるうち、8000人しか食事できないというエル・ブリで、ツテも何もない自分が食事できる機会があるわけもないわけで、バルセロナの目抜き通りパセオ・デ・グラシア通りで開かれている展覧会に、いそいそと行って参りました。

場所はパセオ・デ・グラシア通りとディアゴナル通りの交差点の南西角、ツーリストインフォメーションのある建物。 「Ferran Adria i el Bulli, 1961-2011, Risc,llibertat i creativitat」という名の展覧会。

カタロニア語で「リスク、自由と創造性」という意味。(直訳ど真ん中ですいません、何の解説にもなってないです)

市内のあちこちに張られていた展覧会のポスター。フェランの顔などが、細い線でぼんやりと表現されている。バルセロナ市(カタルニア州?)のつくるポスターなんだけど、相変わらずセンスがいいです。

展覧会のほうは、エル・ブリの歴史とか、今までメニューの中で提供されてきた料理のメカニズムだとか、色々とお面白かったんだけど、妻いわく「やっぱり食べないと分かんないよね」。まあ、そりゃそうですが、世の中にこんな料理があるって知るだけで十分面白いと思います。

2013年の2月3日までやっているそうなので、バルセロナに来られる人は、ガウディのカサミラを見たついでに、ぜひ。

彼の作り出す料理のあまりの斬新さに、新しい調理法を使って手品みたいな料理を作っているイメージもあるフェラン・アドリアですが、彼の考えを記したこんなメモが、大きく展示されていました。原文はカタロニア語ですが英訳はこれ。

Miniskirt, worn by the Greeks, The Romans, and the Egyptians, but conceptualized by Mary Quant. What to be important is not to be the first but to conceptualize it.

建築の世界も料理の世界も、クリエイションにとって大切なことは、変わりませんね。